韓国生まれの祖母が大阪市生野区で台車にキムチを載せ行商を始めたのが1970年。幼い頃から本場のキムチの味に慣れ親しんだ祖母が作るキムチの味は好評で、数年後には大阪市生野区で店舗を構える事ができました。その味付けを、娘である母に伝え、その後、母も1976年にキムチ専門店を大阪市生野区に開業しました。
大阪生野区にある鶴橋は、日本で最大規模のコリアンタウンがあり、在日韓国人2世、3世がたくさん住んでおります。そのため、地元の人々の求める韓国食材やキムチを扱う商店が70店舗以上あります。店先には自家製キムチが並べられていて、店によって味も色も香りも違う、バリエーション豊富なキムチを求めて、京都神戸方面からも連日多くの方が訪れ、いつも人で賑わっています。同じく大規模なコリアンタウンがある東京・新大久保地区では観光客向けの韓流ショップや韓国料理店が多く、キムチ専門店などは数えるほどしかありませんので、大阪鶴橋コリアンタウンで買える本格キムチ「大阪鶴橋キムチ」は、大阪独自の文化だと思われます。また、韓国国内と同じ材料が手に入らないため味付けでも本場韓国とは違う独自の味、そして文化が生まれました。その象徴が「だし」です。うどんでも知られる大阪のだしは昆布と鰹の合わせだしで、これとキムチが融合し、他地域にはない「大阪鶴橋キムチ」が生まれました。だしの味がきいたキムチは、日本人の口にも合い大きな広がりを見せています。
キムチが現在のように人気になるずっと前から、地道な商売に精を出し、昔ながらの味を守る一方で、日本人の味覚に受け入れられる「くせになる辛さの中に、旨さがある」味を模索しながら、風味の良い上質な唐辛子と出汁の旨みを組み合わせることでキムチの辛みを食べやすくまろやかにし、当初は地域に住む在日韓国人にしか売れなかったキムチが、徐々に遠方から買いに来るようなお客様も現れ、味にうるさい大阪で不動の人気を築き上げてきました。
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